大阪なおみが準決勝をボイコット。私の試合を観戦するよりもやるべきことがある。
US オープンに備えた大会として、8月22日からWestern and Southern Openが行われています。
例年ですと、オハイオ州のシンシナティで開催されますが、新型コロナの影響で、今年は、US オープンの試合会場であるニューヨーク市のビリージーン・キング・ナショナル・テニス・センターに移りました。
日本代表で、現在世界ランキングNo10の大阪なおみさん(第4シード)は、初戦から自信に満ちた試合展開をみせてくれ、順調に勝ち進んでいます。
明日8月27日木曜日に、準決勝で、第14シードのElise Mertens選手と対戦する予定でした。
ところが、ツイッターで、突然、準決勝をボイコットすると発表。
その理由は、米国での白人警察官の黒人への暴力に抗議するため。
8月23日日曜日に、ウィスコンシン州ケノシャ市で、ジェイカブ・ブレイクという黒人男性(29歳)が、3人の子供が乗っている自分のSUVに近づいたところ、警察官に7発銃撃されました。背中に7発の弾丸を受けたにもかかわらず命に別状はないけれど、腰から下が麻痺。奇跡でも起こらない限り、歩くことはできないとのことです。
このことに抗議し、全米で抗議デモが行われています。
大阪選手は、アメリカの黒人に対する警察の暴力が立て続けに起こっていることに抗議して、水曜日に試合をボイコットしたNBA(全米プロバスケットボール協会)、WNBA(全米女子プロバスケットボール協会)、MLB (メジャー・リーグ・ベースボール )およびMLS(メジャー・リーグ・サッカー)の選手とともに準決勝をボイコットすることを決めたようです。
大阪選手は、「私は、スポーツ選手である以前に、黒人女性。」と言っています。
そして、「私の試合を見るよりも、今すぐにやるべき重要なことがある。私が試合をしなくても大きな問題は起こらないけれど、ほとんどの選手が白人であるテニスの世界で、問題提起をすることで一歩前進する気がする。」としています。
バスケットボール・チームのミルウォーキー・バックスは、水曜日のオーランド・マジックとのプレーオフ・ゲームをボイコットした最初のスポーツ・チーム。
バックスの行動にともない、NBAは、ヒューストン・ロケッツ対オクラホマ・シティサンダー戦、ロサンゼルス・レイカーズ対ポートランド・トレイルブレーザーズ戦も延期すると発表しました。
これに続き、WNBA、MLB、MLSの選手達も予定されていた試合を相次いでボイコットしました。
大阪選手は、これまでにも、人種差別や暴力に関して積極的に発言をしています。
今回も、繰り返し起こる警察官の黒人への暴力に怒りを感じ、頻繁に「Black Lives Matter」が話題になるのに、状況が全く改善されていないのにうんざりしてしています。
大阪選手が準決勝をボイコットすると発表したことに対応して、Western and Sourthern Openのオーガナイザーは、木曜日の試合はすべて中止としました。
米国では、ここ数年、人種差別や警察官の黒人への差別的な行為・暴力が目立っています。
それにもかかわらず、状況は全く変わっていません。
著名なスポーツ選手で、インフルエンサーでもある選手たちが、皆が楽しみにしているスポーツの試合をボイコットすることで、政治家や米国全般に、状況を変える必要があることを強く訴えています。
今週は、共和党のナショナル・コンベンションが行われていますが、水曜日の各ニュース局は、スポーツ選手の主張に注目したようです。
準決勝をボイコットした聞いたときには、何が起こったのかと驚きましたが、大阪選手をますます応援したくなります。
— NaomiOsaka大坂なおみ (@naomiosaka) August 27, 2020
錦織圭選手の大逆転勝ちに学ぶ。
テニスのグランド・スラム大会である全豪オープンの男子シングルス4回戦で、5時間強の5セットマッチの末、第8シードの錦織選手が、準々決勝へ進み、対戦相手のスペインの第23シードのカレーニョ・ブスタ選手は、この大会を去ることとなりました。
どちらも譲ることなく、最後の最後まで、どちらが勝利するかわからない本当にハラハラする対戦でした。しかし、最後には、6−7、4−6、7−6、6−4、7−6のフルセットで、錦織選手が、自身4度目となるベスト8を果たしました。
最初の2セットは、カレーニョ・ブスタ選手がやや優勢で、錦織選手は、第1セットと第2セットを落としてしまいました。
錦織選手は、これまでにも2セット落とした後に、逆転した勝ちした経験があり、今回も、私たちの期待を裏切りませんでした。
第3セットと第4セットは、錦織選手が盛り返し、最終セットでは、
マッチ・ポイントは、サービス・エースと、とても格好いいところを見せてくれました。
スコアーから見ても、この日の二人の実力は互角。
最後に明暗を分けたのは、精神力と忍耐でしょう。
第5セット目のタイブレークで、カレーニョ・ブスタ選手が、8−5とリードし、勝利まであと2ポイントというところで、風向きが変わりました。
カレーニョ・ブスタ選手がネット際に打った球が「アウト」とコールされましたが、錦織は、ストレートのプレースメントを決めました。
錦織が打ったストレート・ショットとは逆サイドに、カレーニョ・ブスタ選手に動いていたが、ボールは、「イン」ではないかとチャレンジしました。
ホークアイ・システム(ビデオ判定)の結果、ボールは、「イン」でしたが、主審は、ポイントのやり直しをせずに、錦織選手と得点となりました。
おそらく、主審は、「アウト」のコールとは関係なく、錦織選手の打ったボールをブスタ選手が打ちかえせなかったという判断だったようです。
ブスタ選手は、ポイントのやり直しを期待していたようだったので、主審の判定に超激怒しました。
主審に抗議したカレーニョ・ブスタ選手は、集中力を欠いてしまったようでう、その後続けて5ポイント落とし、錦織選手の勝利となりました。
試合後のインタビューで、錦織選手は、「とてもタフな試合で、どのようにして挽回したのかわからなかった。」と言っていました。
最初に2セット落とした時には、自分を信じ、落ち着いていこうと集中して試合をしていました。
5セット目のタイブレークでは、5−8と相手に3ポイント先取されていたにもかかわらず、冷静に、相手のミスを誘うようなプレーをしていたようです。
自分が不利な状況になっても、自分の力を信じ、落ち着いてプレーできたことが、今回の勝利につながったようです。
それに対し、ブスタ選手は、リードしていたにも関わらず、怒りで、冷静さは完全に失い、自滅してしました。
トップ選手と優秀な選手の差は、精神力なのでしょう。
試合後、錦織選手のチャンコーチも、涙を浮かべて喜んでいました。
アスリートでなくても、日常生活で、どんな状況でも冷静さを失わない精神力を身に付けたいですね。